イタリアのピサの斜塔、なんで倒れないの?

皆さんこんにちは!タナベ住建の林です!

世界には、「えっ、それって大丈夫なの!?」と思わず二度見してしまう建築がたくさんあります。

その代表といえば、やっぱりイタリアのピサの斜塔。教科書やテレビでもおなじみの、あの不思議な”傾いた塔”です。

遠くから見ると、「あれは本物?過酷した写真じゃないの?」と疑いたくなるほど斜め。目の前で見ると、思わず首をかしげながら「…なんで倒れないの?」と口に出してしまう人も少なくありません。

実はこの塔、もともとはまっすぐに建てる予定だったんです。

ということで、今回はピサの斜塔の秘密について詳しく紹介したいと思います。

■偶然の傾きから始まった、世界的シンボル

建設が始まったのは1173年。日本ではまだ鎌倉時代も始まっていない頃です。

ところが、建設の途中で地盤が想定よりも柔らかかったことが判明。特に3階部分を作っていたあたりから、徐々に傾きが出始めたと記録されています。

あまりの傾きに工事は一時中断。

しかし、その間に地盤が少し落ち着いたこともあり、設計を少し考えながら建設は再開され、約200年という長い年月をかけて今の形に完成したのです。

■倒れそうで倒れない秘密は「重心と地盤」

では、どうしてあんなに傾いていても、今日まで倒れずに存在し続けているのでしょうか?

その理由のひとつは、**塔の「重心」と「地盤の柔らかさ」**にあります。

ピサの斜塔の重心は、実は塔の中心線から少しだけ内側に位置しており、それによってバランスをギリギリ保っているのです。

また、ピサの斜塔は粘土質で水分を多く含んだやわらかい土。

これが「柔軟造」として地震などの外力を吸収しやすくなっており、それが最終的に塔の倒壊を防ぐ一因にもなっています。

■最新の補強工事で200年は安心!?

実は1990年には「倒壊の危険がある」と判断され、約10年間、塔は立ち入り禁止となっていました。

その間に専門家たちによって大規模な補強工事が実施され、地中の土を取り除いたり、塔の傾きを少しだけ戻す工事が行われていたのです。

その結果、最大で5.5度傾いていた角度は約4度まで修正され、現在では「少なくとも今後200年は倒れない」といわれています。

■建築のミスが生んだ、世界の奇跡

ピサの斜塔は、ただの観光名所ではありません。それは建築の失敗が、結果として世界中から愛される名所になったという、とても興味深いストーリーを持つ建築物です。

現地を訪れた際には、ぜひ”支えるポーズ”の写真を撮るだけではなく、その背景にある建築の知恵と粘り強い工夫にも、思いをはせてみてくださいね。

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