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柱は四角じゃなくてもいい⁉~変わり種柱の世界~
2025.6.18皆さんこんにちは!タナベ住建の林です!
「柱=四角」は常識…じゃなかった⁉
建築といえば「柱」、そして柱といえば「四角い角材」というイメージ、ありませんか?
でも実はこの”柱=四角”というイメージ、必ずしも常識じゃないんです。日本の伝統建築から現代建築まで、「丸い柱」や「六角形」、果ては「ねじれた柱」まで、様々な形の柱が存在します。
今回は、そんな”変わり種柱”の世界を、建築の視点からちょっと面白くのぞいてみましょう。
■ なぜ柱は四角が主流なのか?
まずは、なぜ四角柱が一般的なのかを簡単に整理してみましょう。
1. 加工がしやすい

四角柱は制作しやすく、プレカット工場での加工や、大工さんが墨付け・仕口加工するにも便利。角を基準にして正確な直角や位置を測れるので、構造制度が高くなります。
2.接合がシンプル
四角柱だと梁や桁、筋交い、間柱などを面でしっかり接合できます。角があることで、金物の取付位置も決めやすく、耐震性の確保にも有利です。
■ でも「丸柱」って昔からあるよね?
実は、丸柱は日本建築において非常に伝統的な存在です。
代表例:法隆寺の丸柱

奈良の法隆寺や薬師寺など、飛鳥~奈良時代の社寺建築では、エンタシス(膨らみ)のある丸柱が建てられます。
エンタシスとは:柱の中心部分をやや太らせて、遠近法でスラっと見せる古代ギリシャ建築の技法。
※エンタシスについてはもっと詳しく知りたい方は、古代ギリシャの柱は真っ直ぐじゃない!?~エンタンスに秘められた美と知識~にて詳しく説明していますので、興味のある方はぜひ読んでください
これは実用性より美しさ・荘厳さを演出するため。力強く、かつ柔らかい印象を与えるんです。
■ 丸柱のメリット・デメリット

・メリット
①美しい見た目(和風モダンにも)
②柔らかい印象で空気が優しくなる
③耐久性は基本的に四角と同等
・デメリット
①加工・施工が難しい(墨付けや接合が面倒)
②接合部の処理が複雑になる(面がないため)
③材料のロスが大きくなりやすい
■ 実在する「変わり種柱」いろいろ!
ここからは、実際に使われているちょっと珍しい柱の形状を紹介します。
・丸柱

・先述の通り、和風建築や社寺、数寄屋造りで多用。
・最近では、モダン住宅の玄関ポーチに使われることも。
・六角柱・八角柱

※オロス・オペラハウス 六角柱写真

※八王山 徳正寺 八角柱写真
・社寺建築や茶室で見られる、伝統技術のひとつ。
・面が多くなることで日の当たり方が変化し、美しい陰影ができる。
・三角柱(超レア)

・デザイン住宅で使われることがあるが、構造的には不安定なため装飾的要素が強い。
■ ねじり柱(捻柱)

・材をねじるように削った柱。古民家風のリフォームやオーダー家具で使われる。
・職人技が光る、手仕事の極み!
■ 構造材として使えるの?
「見た目はいいけど、ちゃんと家を支えられるの?」そんな疑問もあると思いますが、答えは「はい、条件次第でOK」です。
■ まとめ 柱の形は自由でいい!
「柱は四角じゃなきゃいけない」なんて決まりはどこにもありません。むしろ柱の形を変えることで、空間の印象がガラッと変わることもあります。
強度・施工例のバランスをとりながら、ちょっとの個性的な柱を選ぶのも建築の楽しみのひとつ。
あなたの家にも、”変わり種柱”を取り入れてみませんか?